カッパと盆月の水浴び
どんな伝承か
盆の月に水浴びに行くと、盆の魚を取りに来たカワッパにさらわれるから行ってはならないといわれた。カワッパは人の腹の中のものを好んで食べ、川で溺れた人がいったん沈んでしばらくして浮かんでくるのは、カワッパに内臓を食べられたからだとされた。この辺りの川には、流れに運ばれたやわらかい土や砂のたまったスシタ、ススタと呼ばれる所があり、踏み込むと深く沈む。はまったときは流れの向きへ逃げないと抜け出せなかった。話者が利根川を泳いで渡ったのは十四、五歳のころで、疲れると流されながら休んだという。
原典より
川で水泳していて死ぬと一度は沈んでしばらくしてから浮いてくるのは、カワッパが人間の内臓を食べてしまうので浮いてくる。—— 千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書)
『千代田村の民俗――伝説・世間話』は、利根川沿いの千代田村で行われた民俗調査の報告から、言語伝承の章を中心に抜き出したテキストである。赤岩・舞木・瀬戸井・福島などで聞いた長良神社や光恩寺、片目の白蛇、カクレザト、河童の伝説と、オトカ(狐)に化かされた話、大食・大力・変わり者の世間話、諺や洒落を、採集した集落名を括弧で添えて短く記す。冒頭には正月の松飾りと大晦日の行事の記事が、途中の文から始まる形で残る。