寮の松と庚申様の蛇
どんな伝承か
福島の寮の松の根元には庚申様が祭られ、そこには庚申様の眷属とされる、腹に蛇の目の模様のある蛇がいた。ある者がその蛇の口から尻まで花籠の竹を突き通し、三日たって抜いたところ、気の違った子が生まれたという。また、落とし物や空き巣の被害があると庚申様を荒縄で縛ったもので、そうすると一昼夜のうちに品物が出てきた。この松にはゴヘイドリが来て、夜も寂しげに鳴いたという。
原典より
三日たって、抜いたが、気の違う子ができた。—— 千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
千代田村の民俗――伝説・世間話(群馬県民俗調査報告書 第14集・群馬県民俗調査報告書)
『千代田村の民俗――伝説・世間話』は、利根川沿いの千代田村で行われた民俗調査の報告から、言語伝承の章を中心に抜き出したテキストである。赤岩・舞木・瀬戸井・福島などで聞いた長良神社や光恩寺、片目の白蛇、カクレザト、河童の伝説と、オトカ(狐)に化かされた話、大食・大力・変わり者の世間話、諺や洒落を、採集した集落名を括弧で添えて短く記す。冒頭には正月の松飾りと大晦日の行事の記事が、途中の文から始まる形で残る。