香炉の灰に残る死の足跡
どんな伝承か
下閉伊郡小国村の字桐内にある家には、昔からザシキワラシが住むと言い伝えられていた。この家では、仏壇に据えた香炉箱の灰の上に小さな足跡が残ることがあり、それが出ると必ず身内から死人が出るとされた。一年か二年前に祖父が亡くなったときにも、灰を踏んだ跡が仏壇のまわりにいくつも散っていたという。話は小国村生まれの大工が語ったもので、花巻在の家に赤顔のザシキワラシがいるという話と同じ折に聞き取られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。