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昭和三十五年頃の話

所在地福岡県糸島市
年代昭和三十五年
登場井上勇、回答者
出典現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話

どんな伝承か

昭和三十五年頃、福岡県糸島郡前原町での話。語り手の叔父は終戦の二年ほど前に北支から相当の余裕金を持ち、六人家族で生家に寄寓した。一年ほどのちに六キロほど離れた山かげの農村に小さな家を建てて移ったが、新円切替や支出制限で貯金の値打ちは下がり、小農業で暮らしていた。六十歳近くで中風にかかり二年ほど臥せっていたある秋口の早朝三時頃、門の戸を激しく叩く音がして開けると、病床にいるはずの叔父が病衣のまま裸足で立っていた。二、三日静養し、車で近親者や友人宅を訪ね歩いて自宅へ帰ったが、その後再起できず一か月後に死亡した。この地方では、老人が親族などを続けて訪問すると必ず死ぬといわれている。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)

松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。

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