平島
どんな伝承か
平島での話に、江島の船が六、七年前の夏の夜、黒瀬の沖の長瀬へ水烏賊を捕りに出かけたことがある。そのうち南風が吹き雨が降り出したので帰ろうとすると、裸で「ヤァヤァヤァ」と言いながら泳いで来る者が六人もいた。それが船に噛りつくと船は動かなくなってしまった。漁師は驚いたが、静かに坐って煙草をのみ、煙管を舷に叩きつけると、その者たちは少し退いた。その間に急いで漕ぎ出したが、また同じように追って来て噛りつく。その都度煙草を呑んでは追い払い、ほうほうの体で家へ逃げ帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。