半田市・)
どんな伝承か
亀崎の沖では十月中旬から鰯が獲れ、その頃になると浜は賑わい、朝夕二度の網引きが行われる。ただし旧暦の三日と四日には決して網を引かない。この両日に鰯網を引くと、引き上げようとした途端、海の中から真裸の男が大勢、手に手に柄杓を持って浮かび上がり、網船めがけてふわりふわりとやって来る。見る間に船を取り巻き、悲しいとも恨めしいとも言えぬ声で「えいやえいや」と歌いながら水を汲んで舟へ入れ、瞬く間に船を沈めてしまう。そして「さあ来い」と言い残して水中へ消える。この沖合で沈んだ者が友を誘いに来るのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。