下伊那泰阜村・公家に化けた狸
どんな伝承か
『伝説の下伊那』によれば、信州下伊那郡泰阜村の温田という所にも、狸が描いたという自像が伝わっている。人の顔に獣の体を取り付けたような不思議な画姿であったという。これは和尚ではなく、由緒ある京都の公家という触れ込みで、遠州路から山坂を越えてこの村へやって来て泊まった。出入りとも駕籠の戸を開かず、家の者も見ることができなかったが、翌朝出発の時に礼だと称してこんな物を置いて去ったという。この狸はそれから柿野という部落に入って同じことを繰り返し、天竜筋を上って行くうち上穂の光善寺の飼犬に正体を見顕され、噛み殺されたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。