八郎湖の氷を割って捕る魚
どんな伝承か
文化七年の正月、真澄は谷地中の佐藤氏の家で年を迎え、正月の行事を細かに記録した。十三日には今戸の浦から下りて八郎潟の氷渡りを試み、氷の下の魚を捕るわざを見に行った。二十三日には一日市から夜叉が袋に出て、湖上の網曳きを見て鯉川に泊まっている。二十五日、雪が霽れて谷地中に還った。この日記を氷魚の村君といい、正月風俗の記事は殊に精彩を極めるが、後段の八郎湖の氷上漁業の記もまた確実無比のものである。旅行記としては最も小さな断片に過ぎない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第3巻』は、柳田国男の紀行・日記・随筆を集めた著作集の一巻である。相模・武蔵の村々を歩いた「水曜手帖」、昭和二十三年八月の自序を持つ「北国紀行」、明治四十三年の「五十年前の伊豆日記」、国際聯盟の委任統治委員会に勤めた大正十一年の「瑞西日記」と「ジュネーブの思ひ出 その他」を収める。後半の「菅江真澄」は昭和十七年二月の序を付け、真澄の著述と旅の跡を年を追ってたどり、写真解説を添える。