桑を摘む日に破裂した磐梯山
どんな伝承か
柳田国男は、猪苗代湖の岸では東南の一隅が最もよいと書いている。九月の夕月の晩、山潟の停車場で汽車を降り、疏水の上流の橋を渡って少し行くと山裾の高みに出た。浜の松原の梢の上に湖水が広がり、そこに磐梯山が映っている。土地の人の話では、二十年前の五月の二十何日かにこの山が破裂した日は、変な日だと思いながらも忙しくて皆が桑を摘みに出ていたそうだ。このあたりからは山がいちばんよく見え、それだけに恐ろしかったという。やがて山は背後に遠のき、船津の家々には灯だけが見えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。