蚊のいない寺
どんな伝承か
丹羽郡岩倉町北市場にある証法寺では、盆の十五日の晩になるとカサボコがともされ、参りの人で賑わう。そしてこの夜に限って蚊が一匹も出ないといわれる。昔、親鸞上人が関東への行脚の帰り、この寺に一夜の宿を乞われた。折から夏の盆の十五日、証法寺は天台宗の貧しい寺で余分の蚊帳もなく、その旨を申し上げて断ったが、上人がたってと仰るので恐縮しながら泊めた。するとその夜、上人が法力で蚊を封じられたので、その夜はもちろん、それから十五日の夜ばかりはこの寺に蚊がいなくなったという。なお葉栗郡浅井町、いまの一宮市の大字河田にある来徳寺にも蚊遣りの間という部屋があり、真夏でも蚊が出てこないと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・昭和三十六年(1961)刊)
尾張・三河(愛知県)に伝わる伝説を山/海/水/給水・雨乞/地蔵・観音/石・岩/城跡・屋敷跡/塚・墓/地名/動物・変化/植物/祟り・怨霊/山人・巨人/社寺/その他の15章に分類して集成する。尾張富士の背くらべ、女人禁制の山、河童・狐狸の変化、雨乞いの淵、戦死者の塚や落人伝説、社寺の縁起や地名の由来など、愛知の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地名つきで網羅する。