お里の涙雨と雨降り朝顔
どんな伝承か
埼玉県大宮市の見沼の周辺には、朝顔に似て昼に咲く雨降り朝顔という花がある。昔、見沼の貧しい漁師の伝助には、お里という美しい娘があった。狩りに来た岩槻の殿はお里を見初めて側女としたが、やがて身ごもったお里は奥方にひどくいじめられ、城を抜け出して沼に身を投げた。家来たちがお里を見つけたのは、野朝顔の咲く岸に打ち上げられた亡骸へ雨が降っているときで、家来たちはその雨をお里の涙雨だと言い合った。以来、この朝顔が咲くころには雨が降ると伝えられ、誰言うともなく雨降り朝顔と呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。