馬子が悪龍を退けた牛頭山龍泉寺
どんな伝承か
河内名所図会は牛頭山龍泉寺を、龍泉寺村にある古義真言宗の寺と記す。推古天皇二年、蘇我馬子が勅を受けてここに仏宇を営もうとしたところ、悪龍が池中に棲んで工事を悩ませた。馬子が一七日のあいだ修したので、悪龍は恐れてこの地を飛び去ったという。のちに寺は次第に衰え、護る人もなく焼けたが、弘仁十四年正月八日に弘法大師が訪れて伽藍の荒廃を嘆き、善女龍王を祭り、弁財天を勧請して龍池を修めた。やがて正三位中納言冬緒卿を奉行として勅願寺となり、ふたたび繁栄したと伝える。境内には大師書写の経疏や仏像が多く、大師の古跡を御住坊という影堂も残るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。