禁を破り化物の袖を潜った農婦
どんな伝承か
旧暦六月十五日は農神さまの祭日で、末崎ではこの日に畑へ出ることを固く戒めてきた。農神さまが社を出て畠を守って歩く日だからだという。昔、末崎のある農婦が人目を忍んで畑仕事をしていると、見上げるほど大きなボーズと呼ばれる化物と出くわした。すぐ引き返せばよいものを、あろうことかその袖の下をくぐってしまう。とたんに手も足もしびれ、農婦は身体の自由を失ったままになったという。この日には麦藁で作った馬に小麦粉の餅を載せて畠の真ん中に置き、鳥が早く食えば吉、長く残れば家に何か変事があると言い伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史・自治体史(民俗))
『大船渡市史 第4巻(民俗編)』一節所収の伝説。岩手県大船渡市の木石・山・坂洞穴塚・水部・長者旧家・社寺・地名の伝説を採録する。