水田の上を往復するとうかん火
どんな伝承か
内田の男が剣道の稽古に出かけた晩のこと。春雨が霧のように降っていた。内田から柳橋を渡り、八幡様の下の小高い道まで来て、ふと内田の方を振り返ると、あたりは真っ暗で、雨が白くぼんやりかすんでいた。その闇の中、飯塚の下と坂戸の尾牛との五、六百メートルほどの間を、赤い提灯のような火が、右手の尾牛から左手の下の方へ、また下から尾牛へと、水田と川の上をゆっくり行き来していた。これを「とうかん火」といい、なまぬるくぼんやりした夜にはよく出るものだという。
原典より
赤い提灯のような火が、右の尾牛から左方の下へ、また、下から尾牛へと静かに静かに往復する。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。