親の死に目と燕雀の巣づくり
どんな伝承か
狭山市下奥富の佐藤つるが語った動物昔話である。燕がなぜ泥で巣を作るのかというと、燕はおしゃれで、紅をさしたり頭の毛を黒く染めたりと身づくろいに追われ、親の死に目に会えなかったからだという。その報いとして、冷たい泥をこねて巣を作らねばならなくなった。いっぽう雀は、いつもみすぼらしい身なりをしていたがまじめでよく働き、親の死に目に間に合った。それゆえ綿のように柔らかく暖かいもので巣を作ることを許されたのだという。全国に分布する「雀孝行」の一話で、隣の入間市には「つばめ孝行」として同じ筋の話が伝わる。
原典より
昔ねえ、ツバクロはどうして泥で巣をつくるかというと、それはね、ツバクロはおしゃれでね、紅をつけたり、頭の毛を黒く染めたりして自分のことにいそがしかったので、親の死に目にあえなかったんだって。—— 狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)・昭和(昭和五十年代調査・刊行。本文に昭和五十三〜五十四年の採集記載)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)・昭和(昭和五十年代調査・刊行。本文に昭和五十三〜五十四年の採集記載))
『狭山市史 民俗編』のうち「五 伝説・昔話・世間話」を収録した一次資料。昭和五十年代に堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で座談会・聞き取り調査を行い、明治〜大正生まれの古老から採集した口承文芸を、見出しごとに原文に近い形で記録する。